苅谷剛彦『学校って何だろう』(ちくま文庫)

新年度が始まりました。
っていうか、何で年度は4月始まりなんだろう・・・?

個人的には、春休みこそ長期休暇であるべきだと思うし、そうなると9月入学の方が合理的。せめて、2月終業4月始業、あるいは3月終業、5月始業がいいと思うのです。

そんな話を公立中学校の先生にしたら、「そんなことしないで、1日も早く学校に引き渡してほしい」と言われた。子どもが学校から離れる時間が長くなればなるほど、また学校に戻すエネルギーが必要になるのだそうだ。

学校の機能には、社会化機能と選抜機能とがある、というのは、教育社会学の教科書的な解答だ。しかし、コロナによって浮かび上がったのは、日本の学校の託児機能であり、福祉としての学校という側面が無視できないほど、日本社会は学校に依存しているのだということだった。

本書は、毎日中学生新聞に連載された、教育社会学者が「学校」の不思議を解き明かしていくという企画である。どうして勉強するのか、どうして試験をするのか、どうして校則があるのか、どうして学校では「みんないっしょ」が大事にされるのか・・・?

ひとつひとつがとても簡潔な解説になっていて、大人が読んでも(むしろ大人が読む方が)十分におもしろい。名著である。
ただひとつ、「福祉としての学校」という機能が、本書が書かれたときに比べて、遥かにに大きくなり、そのことで学校が立ちゆかなくなってきている点を除けば・・・。

(こ)