『吾妻鏡』(西田友広編・角川ソフィア文庫)

大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が予想以上におもしろい。日曜夜が楽しみでならない。

ところで、脚本の三谷幸喜が「これが原作のつもりで書いている」と話しているのが、『吾妻鏡』。・・・これは読まねば。

ということで、今回もやはり、「ビギナーズ・クラシックス 日本の古典」シリーズにお世話になることに。いつもいつも頼りになります。

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吾妻鏡』(西田友広編・角川ソフィア文庫

・・・分厚い。シリーズ最厚ではないか。

吾妻鏡』は、鎌倉時代に記された歴史書である。以仁王の令旨が届き、頼朝が挙兵した治承4年(1180年)から、6代将軍・宗尊親王が京都に送還される文永3年(1266年)までの出来事が、編年体でつづられている。

この「ビギナーズ・クラシックス」版は、『吾妻鏡』から重要な事件・出来事を中心に抜粋し、これに現代語訳と原文、訳注と簡単な解説を付したものである。『愚管抄』や『玉葉』など、他の史料との異同についても触れるなどしていて、読み手の理解を助ける。なお「十三人の合議制」は320頁に掲載。

読みどころは多々あるものの、一つ挙げるとすると、やはり承久の乱における北条政子の演説になるだろう(442頁)。御家人らに直接語り掛けたのではなく、御簾の中から安達景盛を介して伝えたとのことだが、それでもやはり歴史に残るドラマティックなワンシーンである。

この『吾妻鏡』、あくまでも北条得宗家から見た「歴史」であるとはいえ、それでも当時の出来事を伝える一級の史料であることに変わりはない。これでますます、大河ドラマを見るのが楽しみになりそうである。


(ひ)