柚月裕子『ミカエルの鼓動』(文藝春秋)

いえいえ,守備範囲だなんて・・・(笑)。
直木賞は読書の世界の大イベントなので,どんどん盛り上げていきましょう!
『黒牢城』,おもしろかったです(正月に読んだ)。

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さて。

大学病院を舞台にした,久々の大作である。柚月裕子『ミカエルの鼓動』。

北海道中央大学病院の心臓外科医・西條。手術支援ロボット「ミカエル」の第一人者である彼のところに,ドイツ帰りの天才医師・真木が現れた――。

大きく分類すると医療ミステリ(社会派ミステリ)ということになるのだろう。特に,手術等の詳細な描写は読んでいて引き込まれる。もっとも,本作の魅力はそれにとどまらない。特に,主人公の造形がよい。必ずしも100%の正義のヒーローというわけではなく,むしろ自らの選択に葛藤し,苦悩する。これこそが本作の真のテーマといってよいのかもしれない。

メインキャラが1人を除いて全員男性であって,今の時代,若干気になるが(しかも医師は研修医を含めて全員男性),でもよく考えると柚月さんの作品はこれまでも男性ばっかりの話であった。『孤狼の血』シリーズなんて男くささ満開である。

2回目の直木賞チャレンジ,どうなるか――。

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柚月裕子『ミカエルの鼓動』

 


(ひ)