門井慶喜『地中の星』(新潮社)

新年あけましておめでとうございます。
今年もよい本との出会いに恵まれますように。

最初に読んだ門井慶喜氏の本は、『家康、江戸を建てる』だった。名もなき人たちがそれぞれの持ち場で最善を尽くすことで、江戸の礎が築かれたという、400年前のプロジェクトXである。その後、宮澤賢治の父や、ヴォーリス、板垣退助など、いろんな人に脚光を当ててきている・・・が、正直、最近の作品はちょっと食傷気味であったことも事実。

本作品は、タイトルからも想像がつくように「地上の星」ならぬ「地中の星」の物語であり、日本最初の地下鉄(東京メトロ銀座線)の建設をめぐる、早川徳次(のりつぐ)の一代記が、彼を支えた6人の現場監督たちやライバル五島慶太とともに描かれる。やはり彼には、原点に戻ったかのようなプロジェクトX系が似合う。

さぁ、今年も、前を向いて、がんばろう。

地中の星

地中の星

Amazon

(こ)