福井県立図書館『100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集』(講談社)

YOASOBI with ミドリーズの「ツバメ」が今週リリースされた。Foorinの「パプリカ」のように,多くの人に愛される,息の長いヒット作になるか――。

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さて。

普段は軽めの本は紹介しないのだけれど,でもこの本だけは例外。むしろ,すべての本好きにお薦めしたい。福井県立図書館『100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集』。

図書館利用者さんの「覚え違いタイトル」の実例を集めた本である。なお,タイトルはもちろん,佐野洋子『100万回生きたねこ』の覚え違いである。

表紙オビからして面白い。『おい桐島,お前部活やめるのか?』『蚊にピアス』『下町のロボット』『八月の蝉』・・・。『ねじ曲がったクロマニョンみたいな名前の村上春樹の本』はかなりツボに入ったし,『人生が片付くときめきの魔法』みたいな覚え違いはひょっとしたら僕もしているかも。

全体の構成はきわめてシンプル。まず,『ひやけのひと』はどこですか,みたいな図書館利用者さんの質問があり,う~ん何だろうと思いながらページをめくると,『火宅の人』ですね,という司書さんの回答がある。・・・確かに「三宅」で「みやけ」だから,「火宅」で「ひやけ」・・・。司書さんの検索能力,すさまじい。

個人的に一番ハマったのはこちら。

――『滅びた後のシンデレラ』はどこにありますか。

ここから凪良ゆう『滅びの前のシャングリラ』にたどり着ける司書さん,すばらしい。

巻末には,図書館の「レファレンスサービス」について,そして司書という仕事そのものについて簡単な解説がある。本書はいう。「タイトルがうろ覚えでも,作者の名前があいまいでも・・・大丈夫,私たちが一緒にお探しします!」。司書さんという存在がすごく頼もしく感じられた一冊であった。

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福井県立図書館『100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集』


(ひ)