中西嘉宏『ロヒンギャ危機』(中公新書)

前の職場では,年に一度,ミャンマーからの研修生を受け入れていた。僕も「ミンガラーバー(こんにちは)」「チェイズーティンバーデー(ありがとう)」などの基本的な挨拶を覚えたりしながら,コミュニケーションを取った。

そのミャンマーが,今,国軍によるクーデターによって,大変な状態にある。

背景事情を深く知りたくて,中西嘉宏『ロヒンギャ危機』を読むことに。

直接的には,2017年の国軍による掃討作戦と,その後の大量の難民発生について解説した本である。ただ,その前提として,ミャンマーという国の近代史に触れるとともに,なぜ国軍が発言力を有しているのかなど,疑問に思っていることが分かりやすく書かれている。

多民族国家。伝統的に政治に介入する国軍。仏教徒イスラム教徒の対立。そして,欧米諸国と中国の思惑・・・。ミャンマーという国は,実はこれまでもきわめて微妙なバランスの上に成り立っていたことがうかがわれる。

研修生の人たちは,今,どうしているのだろうか。


(ひ)