ここまで話題になると,もう読むしかないっしょ。加藤シゲアキ『オルタネート』。
新見 蓉(いるる)。高校3年生。調理部の部長。
伴 凪津(なづ)。高校1年生。マッチングアプリ「オルタネート」の信奉者。
楤丘尚志(なおし)。高校中退。単身で上京。
3名の人生が,今・・・。
直球勝負の青春小説である。
物語は3名の視点を次々と変えていきながら進む。いずれも過去に傷を負い,今もなお悩みの中にいる。
蓉,凪津,尚志。いずれもいとおしく感じられる。いつまでもこの3名の日々を見守っていきたい。ずっと一緒に歩んでいきたい。そんな物語である。
終盤近く,物語は大きく動く。この疾走感は,感動すら覚える。
前作『チュベローズで待ってる』は,最後の方で物語をひねりすぎた感があった。今回は真向勝負。それがとても良かった。
「アイドルが小説を書いているのではない。作家がアイドルをやっているのだ。」・・誰かがそうつぶやいていたけれど,確かにそうかもしれないなあ。
(ひ)