新川帆立『元彼の遺言状』(宝島社)

 腕利きの若手弁護士・剣持麗子は、奇妙な遺言にかかわることになる。森川製薬の御曹司の莫大な遺産を、自分を殺した犯人に譲るが、ただし、犯人が見つからなければすべて遺産は国庫に納める、というものだ。しかもその遺言状の作者は3か月だけつきあった元カレで、彼女自身も遺言の対象としてこの一件に巻き込まれていく。
 華やかな東京での法知識を駆使したバトルかと思ったら、舞台は一転して軽井沢に移る。ポアロでも出てきそうな、別荘地でのミステリーだ。そして第二の殺人事件、さらに次々と新たな登場人物が現れて・・・。
 息もつかせぬミステリーである。やられた。

 著者の新川さんは、なんでも、作家として誰も書いたことのない小説を書きたくて、そのために弁護士になったんだとか、いやはや。

 ともあれ、ミステリーの世界に、新たなスタープレーヤーの登場である。
 剣持麗子の次の活躍が、今から待ち遠しい。

 

元彼の遺言状

元彼の遺言状

 

(こ)