伊坂幸太郎『逆ソクラテス』(集英社)

緊急事態宣言が解除されて行きつけの本屋が再開したら,真っ先に買おうと思っていた本。伊坂幸太郎『逆ソクラテス』。

小学校を舞台にした,5つの話からなる短編集である。

大人による決めつけ・先入観を扱った第1話「非ソクラテス」。いじめをテーマにした第2話「スロウではない」。他にも,授業妨害をする生徒や,威圧的な態度で子供たちに接する大人など,やっかいな人たち(しかも「いるいる,そんな人」と思わせるような)が次々と出てきたりする。このような逆境に,子供たちはどう立ち向かうのか・・・。

読後感はいずれも最高。道徳的なテーマを扱いつつも,決して説教くさくはならず,もちろん単純な勧善懲悪話にもなっていない。こういうテーマでエンターテインメント性も保たれているのが,伊坂幸太郎作品のすごいところかもしれない。

この時期に読んで良かったと思える本である。

逆ソクラテス

逆ソクラテス


(ひ)