佐々木慶昭『日本カトリック学校のあゆみ』(コルベ新書)

 Stay Homeのおかげで、東京で大学教育をしている友人の呼びかけで始まった読書会に、京都から参加させてもらうことができた。アメリ社会学会で学会賞に輝いた Catholic Schools and the Common Good を、上智と聖心と雙葉の関係者で集まって読もうというもので、その末席に加わらせていただいた。まだ始めたばかりなのだが、久しぶりに大学院レベルのガチ読書会に出ると、筋トレと同じで頭は使わないと見事に衰えることを痛感している。

 で、そういうことがあって、周辺知識を増やそうと今週読んだのがこれ。

 ミッションスクールについては、近代日本におけるキリスト教の受容と西洋的な価値観への態度という観点から、佐藤八寿子『ミッション・スクール』(中公新書)や、最近では井上章一他『ミッションスクールになぜ美人が多いのか』(朝日新書)なんてのがあるが、どちらかというとプロテスタント系の方が目立つようで、しかも女性に焦点を当てて取り上げられる強いように思われる。マンガなんかでもキャンパスに修道服に身を包んだシスターが歩くような瀟洒なスクール像が描かれることが多いような気がする(もっとも、実際には、たとえばイエズス会なんて、ロヨラが絶対服従と自己犠牲というガチ体育会系として立ち上げた修道会だし、女子修道会についても、そもそも祖国を離れて異国の地にミッションに出ようなんて人がおとなしいわけがない)。
 そして、結婚式のイメージが強いからだろうか、どちらかというとミッションスクールのイメージはプロテスタント系の方が強く、カトリック・ミッションスクールに限定した文献は、カトリック教会が出したものくらいしか、なかなか見かけない。

 本書の著者もカリタス女子中高の元校長先生で、聖母の騎士社からの出版だからやはり身内によるものなのだけれど、幕末の開国から、日本への布教のために修道士たちが日本をめざしてやってきて、日本各地にカトリック・ミッションスクールが根付いていくようすを、時系列を追って整理したものだ。実は戦後の方が学校設立は多いにもかかわらず、記述の多くは幕末から明治期に費やされ、戦後についてはさらっと最終章で触れられているだけなので、ちょっと不満はあるが、頭の整理には十分だった。

 それでもやっぱり、プロテスタント系のミッションスクールとの違いは、わからない。

 この読書会の最終目標(?)は、ウェーバーに対抗して「カトリックの倫理と学歴主義の精神」なんてのが導けるかどうか。
 

 オンライン学習の準備と実施にてんやわんやで今週はこれ1冊しか読めなかったので、ごめんなさい。

https://www.amazon.co.jp/dp/4882163128

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Catholic Schools and the Common Good

Catholic Schools and the Common Good

 

(こ)