羅貫中『三国志演義』第3巻・第4巻(立間祥介訳,角川ソフィア文庫)

先週から引き続き,羅貫中三国志演義』である。

第3巻は,劉備が蜀を獲得して天下三分となるも,関羽を討たれ,張飛も部下に殺され,そして劉備自身も亡くなる。

第4巻は「出師の表」から北伐,諸葛亮の死亡を経て,晋(司馬炎)による三国統一までを描く。

吉川英治の小説『三国志』では,劉備の死以後の話はかなり省略され,諸葛亮の死をもって物語としてはほぼ終わっていた。そのため,第4巻は知らないエピソードばかりで,新鮮な気持ちで読むことができた。

とはいえ,劉禅は暗愚であるし,姜維諸葛亮ほどの魅力はなく,なかなか感情移入しづらい。魏についてみても,司馬師司馬昭には曹操ほどのカリスマもないし,鄧艾(とうがい)・鍾会も何やら小物感が漂う。吉川英治諸葛亮の死をもって物語を終えたのも,うなずけるところである。

いずれにせよ,『三国志演義』,読破である。物語の最後に長々とした漢詩が掲げられていて,まるで映画のエンディングのようであった。その末尾2行を引用して,締めとしたい。

「鼎足三分 已に夢となり
 後人 憑弔らい 空しく牢騒ぶ。」

三国志演義 3 (角川ソフィア文庫)

三国志演義 3 (角川ソフィア文庫)

  • 作者:羅貫中
  • 発売日: 2019/06/14
  • メディア: 文庫

三国志演義 4 (角川ソフィア文庫)

三国志演義 4 (角川ソフィア文庫)

  • 作者:羅貫中
  • 発売日: 2019/06/14
  • メディア: 文庫

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