為永春水/伊賀公『江戸うつし 春色梅児誉美』(文芸社)

 大学受験するとき、文化史は大の苦手で、江戸時代の文学といっても、洒落本と滑稽本黄表紙人情本の違いがよくわからなかった。天保の改革で風紀の粛正があって、作家さんが捕まったんだったっけ。

 ・・・その捕まった人情本作家の代表作が「春色梅児誉美」なのだが、恥ずかしながら読んだこともなく、そんな折に伊賀先生からのメール。「趣味が暴走しまして、本を一冊出しました。」

 地の文はほぼ原文を踏襲し、会話文は泉鏡花のオマージュなんだということだが、そもそも泉鏡花もちゃんと読んでいないので、そのあたりはわからないながらも(次は「高野聖」を読もう・・・)、近世文学の講談のような心地よいリズムと語感の中で揺れ動く、色男・丹次郎と、米八、仇吉、お長の3人の女たち。

 なお、伊賀先生は、京都市立高校の国語の先生。堀川の図書館長をされていた時に協議会の仕事でご一緒して以来、交流・・・というか一緒に飲ませていただいております。定年退職されてからも、こうしてますますご活躍。

江戸うつし 春色梅児誉美(しゅんしょくうめごよみ)

江戸うつし 春色梅児誉美(しゅんしょくうめごよみ)

 

 (こ)