スティーブン・レビツキー、ダニエル・ジブラット『民主主義の死に方 二極化する政治が拓く独裁への道』(新潮社)

 フォローしているtwitterのタイムラインでは国会のようすが逐一報告されている。一昔前なら「こんなことがあったら内閣ぶっ飛ぶでしょ!?」というようなことが、笑うくらいに次々とレポートされるのだが、それがしれっとスルーされて、テレビのニュースでは一切取り上げられないようなことが、日常と化してきた。慣れというのか、正常化バイアスとでもいうのだろうか、そんなもののように思えてしまうのは、おそろしいものだ。

 昨年アメリカで出版され、その秋に邦訳が出されたもので、 エーコの講演「永遠のファシズム」とともに、書評欄でけっこう取り上げられていた本である。

 本書では、民主的手続きによる独裁の完成が、比較政治学のアプローチによって示される。
 その特徴はいくつかあるが、権力者による「審判の抱き込み」「プレーヤー追放」「ルール変更」を踏まえて、社会の分裂と二極化を進行させてその流れに乗りながら、さまざまな規範を次々と踏みつぶして乗り越え、独裁が完成していくという。
(ただしこの3つをすべてクリアしたのは、エクアドルベネズエラだけなので、この比較テーブルがどこまで有効かは措いておく。)
 そしてその上で著者たちは、トランプ政権を採点する。

 さて、こうしてみたとき、わが日本は・・・?

 なるほど・・・。

 ゆでガエルは、こうやってできあがっていくのだろう。

民主主義の死に方:二極化する政治が招く独裁への道

民主主義の死に方:二極化する政治が招く独裁への道

 
永遠のファシズム (岩波現代文庫)

永遠のファシズム (岩波現代文庫)

 

(こ)