塩野七生『ローマ亡き後の地中海世界 1~4』(新潮文庫)

途中まで読んだところで中断していたのだけれど,今回,ちょっと再読。最後まで読んだ。塩野七生『ローマ亡き後の地中海世界 1~4』。

西ローマ帝国滅亡後,地中海世界に台頭してきたイスラム世界と,これに対応するキリスト教世界との攻防記である。ベストセラー『ローマ人の物語』の続編という見方もできなくもないが,どちらかというと,『海の都の物語』(これも面白かった。)などで何度も取り上げてきた地中海世界について,作者としての集大成の作品,という位置づけの方がより正確かもしれない。

終盤,塩野七生は問う。歴史は,個々の人間で変わるのか,変わらないのか。歴史学者たちは「変わらない」と言い,塩野七生はこれに対して,半ばくらいなら「変わる可能性はあるのではないか」と考える。同じ歴史を眺めていても,「学者」と「作家」とでは視点が違う。なかなか興味深いところである。

将来,もし時間とお金が少しできれば,この本の舞台となった史跡を,少しでもよいので訪問してみたい。まあ,いつになるのか分からないけれど。


(ひ)