山本博文「『忠臣蔵』の決算書」(新潮新書)

また映画の話で恐縮だが,「決算!忠臣蔵」(主演:堤真一岡村隆史 脚本・監督:中村義洋)の予告編が面白かった。討ち入りをするのにはカネが必要,という当たり前のことを正面から描いたコメディ映画である。

興味を持ったので,「原作」としてクレジットされているこちらの本を読んでみた。山本博文「『忠臣蔵』の決算書」。

大石内蔵助が遺した「預置候金銀請払帳」から忠臣蔵,すなわち赤穂事件を読み解こうという本である。

「預置候金銀請払帳」とは,箱根町箱根神社に所蔵されている史料であり,大石内蔵助が討ち入り直前に浅野内匠頭正室瑤泉院に向けて提出した,いわば討ち入り計画の「決算書」である。これがまた,事細かに出費額とその内訳が一つ一つ記されていて,とても興味深い。

討ち入り費用(御家再興費用も含む)として使うことのできた金額は,約700両(約8400万円)。他方,出費の方は,1か月の飲食費(1人分)が「金二分」(約12万円),潜伏先の家賃(4人住まい)が「銀二十四匁」(約5万円),江戸・上方の旅費(片道)が「金三両」(約36万円)・・・などなど。実に,次から次へと出費が積み重なっていく状態であった。

大石内蔵助,大変だったんだなぁ。

「忠臣蔵」の決算書 ((新潮新書))

「忠臣蔵」の決算書 ((新潮新書))


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