岡田憲治『なぜリベラルは敗け続けるのか』(集英社インターナショナル)

本書は6月ごろに話題になってそのときに手にしたものなので、ちょっと時期が遅い気もするけれど、参議院議員選挙が終わったということもあるので、メモ代わりに感想を書いておこうかと・・・。

本書は、左派勢力に対して渾身の支持を与え続けてきた筆者が、どうして左派が勢力を拡大できなかったかを考察した、自省録である。
本書をざっくり要約すると、「日本のリベラルはコドモだから、もっとオトナになろうよ! 清濁併せのむ度量を見せて、仲間を増やそうよ!」というところか。
このことはずっと昔から言われてきたことで、有名なのは「社会党の左翼バネ」だろう。社会党には何度か政権獲得のチャンスがあったのに、そのたびにお得意のお家騒動と内ゲバによって自滅してきたというやつである。

もっとも「リベラルが敗れる」というけれども、リベラルの定義はきわめて曖昧だし、世界中で(筆者のいう)リベラルが苦戦しており、今の日本のリベラル勢力の退潮は、世界的なトレンドとして見ることもできるようにも思う。それに自民党公明党はリベラルに対抗する「保守」なのかというとそうではない。鵺みたいなものだ。

参院選についての評価はいろいろとあるのだろうが、個人的には「れいわ」と「N国」とがそれぞれ政党要件を満たした上で議席を獲得した選挙だった、ということになるのかなぁ、と思う(授業で使う教科書や資料集にも登場するわけですから!)。仮にこれらの政党をポピュリズム政党とみなすのであれば、この現象はヨーロッパ議会選挙でもっと大規模に起きていることなので、日本でもかぁ、という気分である。そんな矢先、イギリスではジョンソン首相が誕生したわけで、民主政治はさらなる進化(?)を遂げることになるのだろうか。

・・・とまあ、話題にはなったけど、どうして買って読まないといけないほどではない本でした。以上。

なぜリベラルは敗け続けるのか

なぜリベラルは敗け続けるのか

 

 (こ)