鎌田浩毅『富士山噴火と南海トラフ』(講談社ブルーバックス)

 東京に向かう新幹線の中で、この本を読みながら、今、富士山が噴火したら、京都にはしばらく帰れないんだよなぁ・・・などと考えてみた。

 「火山灰」「溶岩流」「噴石・火山弾」「火砕流・火砕サージ」「泥流」「山体崩落」のどれひとつとっても、その被害はただではすまない。さらに、南海トラフ巨大地震が連動したとしたら・・・。

 火山灰の被害ひとつとっても、アウトだろう。火山灰は細かいガラスのかけらなので、気管や肺が傷つけられ、ライフライン交通機関をズタズタにする。積もった火山灰は水で流せないので処分に困り、放っておくと家屋が押しつぶされる。

 天はきっと落ちてこないから杞の人の憂いは笑いの種になったけれど、富士山は必ずいつか噴火する。覚悟して準備するに越したことはない・・・とはいえ、どうしたものか?

 今年は祇園祭が始まって1150年にあたる。864年に富士山が噴火し、869年に貞観地震が東北を襲った。悪霊を鎮め穢れを除くために、66基の矛と3基の神輿が京の街に出たのが最初だという。
 この国が火山国であり地震国であることを改めて思い起こしながら、今月は、祇園祭を通して世の平安を祈願しようと思う。

富士山噴火と南海トラフ 海が揺さぶる陸のマグマ (ブルーバックス)
 

 (こ)