綿矢りさ『手のひらの京(みやこ)』(新潮文庫)

奥沢家
長女・綾香 = 31歳にして婚活開始。
次女・羽依 = OL、かなりモテる。
三女・凜  = リケジョ(M2)、異性に興味なし。
お母さん  = 60歳になったので主婦の定年を宣言。
お父さん  =  にぎやかな女系家族の中でいつもマイペース。

 

京都本コーナーに平積みになっていたので、手にとった。
京都出身の著者だが、意外にも京都を書いたのは初めてらしい。

「私は山に囲まれた景色のきれいなこのまちが大好きやけど、同時に内へ内へとパワーが向かっていて、盆地に住んでる人たちをやさしいバリアで覆って離さない気がしてるねん」
「好きやからこそ一旦離れたいっていうのかな、盆地の中から抜け出して、外側から京都を眺めて改めて良さに気づきたいねん」

この言葉を、凜の口を借りて言いたかったのかな、と思う。

 

ただ、固有名詞や京の四季の風物詩をちりばめることに力が入りすぎているように感じられて、平成版「細雪」ではなく、なんだか土曜ワイド劇場「京都なんとか案内」を見ているような気になる。

あとひとつ。

綿矢はん(と新潮社はん)、京都のお人やったら、「大文字焼き」(文庫p.87 & 裏表紙解説)は、NGやおへんか? 

手のひらの京 (新潮文庫)

手のひらの京 (新潮文庫)

 

 (こ)