寮美千子編『空が青いから白をえらんだのです 奈良少年刑務所詩集』(新潮文庫)

 作家の寮美千子氏が、奈良少年刑務所が受刑者を相手に実施している「社会性涵養プログラム」の一環として、童話や詩を使った情操教育に取り組んだ記録である。
 凶悪犯罪を犯して服役している20歳そこそこの青年たちが、幼な子のように自分をさらけ出して、のびのびと言葉を紡いでいる。安心して甘えることができなかった子ども時代を必死で取り戻しているかのように。

 タイトルになっている一行詩は、受刑者Aくんが、亡き母への思いを込めてつくったもの。朗読を聞いてコメントする仲間の受刑者たちの言葉が、あたたかい。

  人は、弱くて、不完全な存在なのだということを、ついつい忘れがちになるけれど、だからこそ人はつながり、助け合い、支え合うことができるのである。

  涙が止まりませんでした。 

空が青いから白をえらんだのです ―奈良少年刑務所詩集― (新潮文庫)

空が青いから白をえらんだのです ―奈良少年刑務所詩集― (新潮文庫)

 

 (こ)