米澤穂信『本と鍵の季節』(集英社)

ざらり,とした後味の残る連作短編集。米澤穂信『本と鍵の季節』。
 
高校生の「僕」と,その友人の松倉詩門(しもん)。2人は学校の図書委員である。ある日,先輩がやってきて,2人に頼み事をするのだが・・・。
 
高校生活を舞台にした,全6編のミステリである。どの短編でも謎が提示され,その謎は最終的には2人によって解かれる。しかし謎が解けたからといって,必ずしもハッピーエンドが待ち受けているわけではない。むしろ,いずれも少々心をざわつかせるような展開になっていて,それが小説としての奥行きを生み出している。
 
「僕」と詩門の軽妙なやり取りは読んでいて小気味よい。「僕」の詩門に対するまなざしも。最終話「友よ知るなかれ」は,ちょっと良かった。
 
続編,出るのかな。
本と鍵の季節 (単行本)

本と鍵の季節 (単行本)

(ひ)