塩野七生『十字軍物語』。後半部分に当たる第3巻と第4巻も文庫化された。
獅子心王リチャードとサラディンの両雄が激突した第三次十字軍(塩野氏の筆も走る,走る。)。ヴェネツィア共和国の思うがままとなった第四次十字軍(『海の都の物語』でもおなじみ)。戦争は終わらせ方が難しい,と思わせる第五次十字軍(無能な指揮官は・・・)。皇帝フリードリヒが率いた第六次十字軍と,フランス王ルイが率いた第七次十字軍の対比も興味深い。
物語の終盤,塩野七生は次のように総括する。
「長期にわたって展開された戦争(ウォー)の歴史とは,戦闘(バトル)の連続のみで成る物語ではない。たびたびの共生の試みと,そのたびに起る破綻と,それでもなおそこに生きようとした人々の物語でもあるのである。」
世界史の授業で少しかじった程度の十字軍。それが,塩野七生の手によって生き生きとした物語になり,僕の前に現れた。
- 作者: 塩野七生
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2019/01/27
- メディア: 文庫
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(ひ)