工藤勇一『学校の「当たり前」をやめた。― 生徒も教師も変わる! 公立名門中学校長の改革 ―』(時事通信社)

ちょっと職員室とか同業者の間で話題になっている本の紹介をば。

東京の公立中学校が、クラス担任制を廃止し、定期考査を廃止し、運動会も変え、放課後の部活動を改革し、外部の人材を引き込みながら、次々と変化を遂げていった話である。

この本を読んだ同僚の感想は「どうやったらこういうことできるんでしょうね、うちではできるんですかね」というもので、自分もそう思う。
また、校長のリーダーシップで「学校が変わった!」という話は、書店に並んでいるだけでもほんとうにたくさんあって、 それが定着したのか、その後どうなったのか、他校に波及したのか、という点については、よくわからない。また、話題になったけれども、その舞台裏は・・・という話も聞く。

それでも、この学校の話は、参考になることが多い。
キーワードは「手段の目的化」であり、生徒のために何をすべきかを厳しく問い続けた結果が、この改革であるという。そもそも学校本来の目的とは「子どもたちが将来、社会でよりよく生きていけるようにすること」であり、教師は人材育成のプロであるはずだ、と現場教員のプライドを焚き付けることも忘れない。その上に、この校長先生は教育委員会も長くて、法令の細かいところを知悉し、できることとできないことがはっきりとわかっている。

こうしたリーダーのあり方は、どの組織でも成り立つ話であって、だからこそこの学校の事例は、とてもわかりやすいのだろう。

 (こ)