天野純希『雑賀のいくさ姫』(講談社)

 雑賀孫一の娘・鶴は、難破した三本柱の南蛮商船を手に入れると、結婚を迫る父と許嫁の左近から逃れ、合戦によってではなく貿易商人として生きるために海に乗り出す。船には、スペイン貴族の末裔でサムライを求めて日本にやってきたジョアン、剣の達人二階堂兵庫、船頭の喜兵衛、モザンビーク人の元黒人奴隷アントニオ、それに猫の亀助。

 堺で今井宗久に便宜をはかってもらい、村上水軍とひともめしたあと、船団を率いて現れた島津の巴姫から驚くべき緊急事態を聞かされる。

 後半は、奄美沖海戦、そして敵本隊との東シナ海での決戦と、ひたすら戦闘描写。

 激戦を終えて鶴姫たちは、自由な海にふたたび漕ぎ出していくのである。

 まさに、戦国版ワンピース。ああ、楽しかった!

雑賀のいくさ姫

雑賀のいくさ姫

 

 (こ)