塩田武士『歪んだ波紋』(講談社)

誤報」をテーマにした連作短編集である。塩田武士『歪んだ波紋』。

5つの短編が収められている。主人公はいずれも現役の新聞記者,あるいは元記者。それぞれの立場から,「誤報」に,そしてその背後にある「悪意」に気づかされる・・・。

記者としての事実との向き合い方。全国紙と地方紙の格差。女性記者の立場。そして,新聞とネットニュース。塩田武士は,この短編集を通して,新聞報道をめぐる現在の日本の状況を切り取っていく。

全般的に,松本清張へのオマージュにあふれている。タイトルの付け方も,それと,「真実」への迫り方も。個人的には女性の元記者を主人公にした第3話「ゼロの影」が良かった(ミステリ要素も強め)。

歪んだ波紋

歪んだ波紋

(ひ)