倉田タカシ『うなぎばか』(早川書房)

暑い。
こんな日には、うなぎでも食べて、元気出そうか。
そんなわけで、鰻重を食べる代わりに、本屋で手にしたのが、うなぎばか。

 

舞台は、うなぎが絶滅した世界。

秘伝のうなぎのたれをめぐる三世代の話(うなぎばか)。
密漁監視するうなぎ型ロボットと「さささかさん」の話(うなぎロボ、海をゆく)。
ポストうなぎの美味を求めて熱帯林に踏み込むと・・・(山うなぎ)。
土用の丑の日」広告阻止のために江戸にタイムスリップ(源内にお願い)。
まちがってうなぎを絶滅させてしまった神様が雄高の前に現れて・・・(神様がくれたうなぎ)。

 

うなぎがいなくなっても、きっとぼくたちは困らない。
でも、うなぎがなくなった世界の小説を楽しめるくらいには、ぼくの中にも、うなぎのいる夏がビルトインされているということらしい。

うなぎばか

うなぎばか

 

 (こ)