新井紀子『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(東洋経済新報社)

『宇喜多の楽土』おもしろかったです。直木賞は残念でしたね。

 

さて、今週はちょっとAIとシンギュラリティについて思うところがあって、何冊かまとめて読んでみた。

そうした中で、あらためて本書がよくまとまった本だということがわかったので、読み直してみる。

本書には大きく3つの主題があって、「東ロボくん」開発を通したAIの歴史と現状、その背景にある数学とは何かという解説、そして今の中高生の学力問題、のそれぞれがきちんとまとまって書かれていて、わかりやすくておもしろい。本書に対してはすでにいろいろな反論や議論が百出しているけれど、今後、この本を抜きに語れない「古典」としての地位を半年で確立してしまった感もある。

3つめのテーマ、すなわち著者たちが「東ロボくん」開発過程で得た知見を学生相手に応用してみたくだりがあって、AIが苦手とする分野に対する正解率が二極化していることに著者は警鐘を鳴らす。本来ならこの手の発見は、毎年何億円かけて実施されている、文部科学省の「全国学力・学習状況調査」によって測定され発見され対策されていて然るべきであって、何のためにやってんだか・・・と思ってしまった。 

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

 

(こ)