東京で5歳児が虐待死させられた事件に、心が痛み続けた一日。
前著『学歴分断社会』では、日本社会の分断線を「大卒」と「非大卒」の間に引き、現代日本では両者がほぼ半分ずつ暮らしていて、前者の子どもは前者、後者の子どもは後者として、階層の再生産が本格的に始まったことを明らかにした。
本書ではそれを一歩進め、大卒、非大卒の2つのグループを、さらに男性/女性、若年/壮年と8類型に区分し、それぞれの集団に固有の生活状況、社会経済環境、意識、ライフサイクルなどを、社会調査データにもとづく計量分析をベースに解き明かしていく。
他国の先行研究をひもとけば、社会の分断が先鋭化すれば、失業、貧困、離婚結婚の繰り返し、家族崩壊、ネグレクト、銃、麻薬、窃盗、人種排外、ファシズムといった事例が社会に蔓延するという。
著者は「共生社会」の実現によって、その危機を乗り越えるべきだと訴える。大卒/非大卒、男女、壮若という垣根を乗り越えて、相互理解と交流を進めて分断社会を緩和することによって、新しい社会をつくろうというのである。
天国では、あたたかいかわいい服を着て、おいしいごはんをたくさん食べてね。
生まれ変わってきたときには、やさしい人たちに囲まれて、元気に大きくなってね。
守ってあげられなくて、ごめんね。
日本の分断 切り離される非大卒若者(レッグス)たち (光文社新書)
- 作者: 吉川徹
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2018/04/17
- メディア: 新書
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(こ)