柚月裕子『凶犬の眼』(角川書店)

あの衝撃の警察小説『孤狼の血』に,まさかの続編が出た。柚月裕子『凶犬の眼』。

平成2年の広島県内。田舎の駐在所に左遷された日岡秀一。カレンダーに×印をつけながら毎日を虚しく過ごしていたところに,ある男がやってくる。それは,殺人事件で指名手配中の国光寛郎だった・・・。

前作『孤狼の血』の完成度があまりにも高すぎたし,ストーリー的にも一応完結していたため,「続編」といわれてもなあ・・・という気持ちが読む前にはあった。それが読んでみると,やはり柚月裕子ワールドである。今から30年近く前の空気,それこそコンプライアンスだ何だというのがまだ醸成されていなかった時代の空気というものを,きわどく表現している。

最終的には3部作にするそうで,現在,その3作目を連載中とのこと。最終的な評価はその3作目を読み切ったところであらためて,ということになろうか。

それにしても,作品が予想を超えて大ヒットする → 続編が作られる → 最終的に3部作になる,というのは,映画とかでは昔は割とあった。スター・ウォーズとか,バック・トゥ・ザ・フューチャーとか,マトリックスとか。本作もなんとなく,これらの映画の2作目と共通した雰囲気を漂わせている気がする。野球でいえば2番打者みたいな(当たり前だけど)。

凶犬の眼

凶犬の眼

(ひ)