木皿 泉『さざなみのよる』(河出書房新社)

脚本家の夫婦ユニット・木皿泉の5年ぶりにして2作目の小説である。『さざなみのよる』。

43歳の女性・小国ナスミと,彼女の周囲の人々とを描く連作短編集である。NHKのお正月ドラマ「富士ファミリー」のスピンオフ作品なのだが,見ていなくても読める。というか,そもそも僕も見ていなかった。主人公のナスミは小泉今日子で,姉の鷹子は薬師丸ひろ子で,笑子ばあさんが片桐はいりなのだそうだが,言われてみると確かにそんなキャラである。

それにしても,小説家としてのデビュー作『昨晩のカレー,明日のパン』もそうだったが,木皿泉の視線は優しい。人生,つらいことも落ち込むこともあるけれども,「それでいいんだよ。」と,そっと背中を押してくれる。

今度はまた,スピンオフ作品ではなくて完全新作を読みたい。何年後になるのか分からないけれど。

さざなみのよる

さざなみのよる

(ひ)