義父が亡くなった。長くはないとは言われていたものの前の日まで元気だったのに、容態が急変して、あっという間に心臓が停止した。
夜伽で義父とワインを傾けたりしながら(寝たけど)、ひととおり葬儀も済んで、家族でファミレスに繰り出した。
無性に肉が食べたくなって、がっつり食べた。
なぜかそこで、20年以上前に読んだ『キッチン』が脳裏をよぎった。
京都に戻ってきて、アマゾンで取り寄せて、読んでみた。
目の前の死と、瑞々しい生とが、キッチンを介して交錯する。静かに、食べる。サラダ食べてコーヒー飲んで、カツ丼を食べる。
10代の感性はあのとき彼女のデビュー作に激しく共鳴したのだけれど、40代の心は言葉のひとつひとつを静かに染みこませるのだった。
(こ)