司馬遷『史記 1~8』(徳間文庫カレッジ)

ついに,ついに読破した。徳間版『史記』全8巻。

抄訳ではある。抄訳ではあるが,各巻500頁前後で全8巻というのはかなりのボリュームであるし,しかも主な出来事やそこそこ有名なエピソードはほぼ網羅している。何よりもまず,簡単な解説と現代語訳に加え,原文と読み下し文も併記されているのはうれしい。ちょっと気になる言い回し部分など,すぐに読み下し文に当たることができる。ああ,これは散文というより詩なんだな,と思ったりもする。

しかし,司馬遷はすごい。『史記』は単に歴史を描いた書ではない。むしろ,人を,人生を描いた書であろう。そこで描写されているのは,本質的には現代と変わらない人の営みである。だからこそ,現在まで読み継がれてきたといえる。

なお,読んでいて思ったのは,この文体,どこかで見たような・・・というところ。人物にスポットライトを当て,直接話法で(漢文だから当然なのだが)会話をまざまざと再現し,時に,著者自らの見解を付したり,現地を訪れたりして感想を述べたりしている。

・・・ああ,そうか。これは司馬遼太郎の文体だ。なるほど~。

史記 一: 覇者の条件 (徳間文庫カレッジ)

史記 一: 覇者の条件 (徳間文庫カレッジ)

(ひ)