うちのクラスの学級文庫に何冊か持って行こうと、自宅の本棚をごそごそまさぐっていたところ、ぽろりと頭の上に降ってきたのが、なつかしい『阪急電車』だった。
最初に買って読んだのは、どうやらもう10年も前のことになるらしい。
久しぶりに手にとって、読み返す。
なんか、いいねぇ。こういう話だったっけ。
10年前と違うのは、もちろん年輪を重ねたということもあるけれど、数年前に阪急今津線沿線に週に1回通うことがあったので、小説の中の光景がつぶさに目にうかんでそれがとても楽しかったからだと思う。
だからきっと、「東急電車」ではこの感覚は感じられないのだろう。
この小説は映画化もされたけれど、阪急沿線の俳優さんが大挙して出演し、関西でけっこうな観客動員を誇ったという。さもありなんという気がする。
(こ)