年始めの1本目は,こちらの本を紹介したい。澤田瞳子『火定(かじょう)』。
パンデミックを題材とした小説である。といっても,現代や近未来が舞台というわけではない。舞台は今から1200年以上も前の天平時代。裳瘡(天然痘)による平城京の大混乱を描いた,歴史小説である。
次々と感染する疫病。手段も方法も分からないまま,必死に立ち向かう施薬院の官人ら。混乱に乗じて偽神を広める者。そして,暴徒と化す群衆・・・。
単なるパニック小説ではない。死とは何か。生きるとは何か。登場人物らはもがき苦しみながらも,天然痘に,そして人生の意味に正面から挑んでいく。
第158回直木賞最終候補作である。当然のノミネートといってよいかもしれない。
- 作者: 澤田瞳子
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2017/11/21
- メディア: 単行本
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(ひ)