サンテグジュペリ『星の王子さま』

きっと、本が少しでも好きな人なら、いちどは手にしたことがあることだろう。

子どもの頃、父は自分は本なんて読まないのに、子どもが読める名作らしき本をときどき買ってきて、本棚に並べて悦に入っていた。だからきっと、ぼくの「積ん読」は父のせいだ。

その中の1冊が、岩波版の『星の王子さま』だった(内藤濯訳)。たぶん、いちばん読まれている定番だ。

星の王子さま (岩波文庫)
 

その後、子どもの心を失って、大人になって物事をわかったつもりになっていたとき、乾いてささくれ立った心にしみこんできてくれたのが、ちび王子(le petit prince)だった。

ちび王子の話は、いろんな人がいろんなふうに訳してくれている。

新潮社は河野万里子訳。集英社池澤夏樹訳。講談社三田誠広訳。中公は小島俊明訳。角川は管啓次郎訳。ほかにもある。

星の王子さま (新潮文庫)

星の王子さま (新潮文庫)

 
星の王子さま (集英社文庫)

星の王子さま (集英社文庫)

 
星の王子さま (講談社青い鳥文庫)

星の王子さま (講談社青い鳥文庫)

 
星の王子さま (角川文庫)

星の王子さま (角川文庫)

 

 変わり種は、角川つばさ文庫だろう。あのオリジナルの王子さまの挿絵ではなく、西原りえぞう先生のあのイラストが、眼球から脳みそにがつんと飛び込んでくる。たまらなく痛快。

 うちの本棚には、3人の王子がいる。

ぼくは池澤訳がなんとなく好き。そしてサイバラ画伯の裸の大将みたいな王子を見てくすっと笑うのが、ちょっと好き。

どの王子と仲良くするかは、あなた次第。

(こ)